『ドビュッシーとの散歩』
“ドビュッシーは、崩壊しつつあった機能和声にかわるものとして、東洋的な音階や美意識をよりどころにした。ちょうど西洋美術が浮世絵に学んだように、ドビュッシーもまた、絵画でいえば遠近法にあたる機能和声をできるだけあいまいにして、ほわんと宙に浮いているような音楽を書こうとしたのだ。
欧米のピアニストがドビュッシーを弾くと、せっかく作曲家が平面的な音楽をめざしているのに無理矢理立体的にしようとして妙なことになることが多い。
ドビュッシーの美意識にぴったりはまるのは、むしろ私たち東洋人の感性なのだ。”
(『ドビュッシーとの散歩』青柳いづみこ』)
いま每日ドビュッシーを聽いてゐます。
「Clair De Lune(月の光)」や「Arabesque(アラベスク)」など魅力的な曲がたくさんありますね。
これからフランスの文學、繪畫、音樂に積極的にふれていかうと意つてゐて、音樂では先づDebussyをよく知りたいと欲つてゐます。
この本はその初めの一步として最適であつたと思ひます。青柳さんの文體と、その輕妙な閒にのせられて、心地よく、また興味深く最後まで讀むことができました。
ほかにも多数の著作があるやうなので少しづつ讀んでいかうとおもつてゐます。
閏皐月辛卯