日本には世界中の種々なものがそろつてゐる。
外からとりいれて、洗練し發展させ、世界に還元する。
東洋と西洋の架け橋である。
日本の使命は、世界の樣々な人やものを和ふ、といふこと。
ただし、それは決して諸外國に阿諛し右顧左眄するといふことではない。
正々堂々と、誠をもつて進んでゆけばよい。
眞を中心に居ゑ、善に據り、世界に美を示す。
日本の眞髄は、眞善美である。
日本を世界の藝術郷へ。
それがこれからの日本の進むべき路である。
約二年を經て、やうやく目標であつた『周瑜傳』の和譯をひとまづ完成、出版することができました。誤りも多からうと思ひますが、いまはひとまづ出版できたことを素直に喜んでゐる次第です。
「周瑜」の存在は、中學三年のときに『超・三国志 周瑜伝―“周瑜伝奇”より』(今戸榮一 訳編)を讀んでから、ずつと心の中で感じてゐたやうに想はれます。
ちやうどこの本を讀んでゐるときに父を亡くしたやうに記憶してゐるのですが、周瑜の凛とした壯容が、心の中を淸涼な風となつて驅け抜けてゆき、少なからず哀しみをやはらげてくれたと念ふのです。
以來、彼は僕にとつて、ひそかに自己を勸誨してくれる人となつてくれたのではないかと思はれます。
『三國志演義』はもとよりフィクションですが、そこでは周瑜の實像は歪められてをり、彼の眞姿を感じることはできないのではないでせうか。正史の『周瑜傳』を讀むことにより、彼の息吹を、少しでも身近に感じてもらへることを心より願つてをります。
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