蒼井 悠人

aoiharuto

第24話:『日本美術論』(金原省吾)を讀む(5)

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『日本美術論』(金原省吾)の「第五章 日本画の論理」を朗讀してゐます。

“東洋の畫は、霧の中にある形體として考へ得る。形は霧によつて細部を消され、角を消されて、一つの省略體となる。 物と物との關係に於いては、遠いものは消失し、そこは餘白となる。個物形體的に言へば、省略形體であり、畫面形體的にいへば、餘白形體である。 この濕度の與へる形體の變成は、日本の畫面形體の形成に露はな影響を与へ、これ迄の畫面形體は多少とも、霧による變形作用をうけて成立してゐる。そしてこれ迄の變成形體は、色彩の變成によつて成立した水墨の系統中に入り、この餘白と省略とが、水墨或は水墨中心の組織で表現される。これが風土的な日本畫の形成作用である。”

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金原省吾(1888〜1958)
『日本美術論』(金原省吾)

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