初梅
GR DIGITAL f/2.8 1/1250秒
“誰が園の梅にかありけむここだくも咲きにけるかも見が欲しまでに(萬:二三二七)”
今年最初に視た梅の花。
まだまだ滿開ではありませんね。
蕾が若々しく、視てゐると力强い生命力を感じます。
これから日每に少しづゝ花開いていくのを樂しみにしてゐます。
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“誰が園の梅にかありけむここだくも咲きにけるかも見が欲しまでに(萬:二三二七)”
今年最初に視た梅の花。
まだまだ滿開ではありませんね。
蕾が若々しく、視てゐると力强い生命力を感じます。
これから日每に少しづゝ花開いていくのを樂しみにしてゐます。
“さういふ時彼女の顏のなかにともし火がともつたのだつた。この鏡の映像は窓の外のともし火を消す强さはなかつた。ともし火も映像を消しはしなかつた。さうしてともし火は彼女の顏のなかを流れて通るのだつた。しかし彼女の顏を光り輝かせるやうなことはしなかつた。冷たく遠い光であつた。小さい瞳のまはりをぼうつと明るくしながら、つまり娘の眼と火とが重つた瞬間、彼女の眼は夕闇の波間に浮ぶ、妖しく美しい夜光蟲であつた。”
“島村はその方を見て、ひよつと首を縮めた。鏡の奥が眞白に光つてゐるのは雪である。その雪のなかに女の眞赤な頰が浮かんでゐる。なんともいへぬ淸潔な美しさであつた。
もう日が昇るのか、鏡の雪は冷く燃えるやうな輝きを增して來た。それにつれて浮かぶ女の髮もあざやかな紫光りの黑を强めた。”
(『雪國』川端康成)
赤、白、黑のあざやかな對照。
「澄み上つて悲しいほど美しい聲」をもつ葉子。
しなやかでゐて凛とした駒子の魅力。
色彩、音、光。
五感を刺激される。
“國境の長いトンネルを拔けると雪國であつた。”
夢幻の世界へのいざなひでなくて何であらう...
春されば散らまく惜しき梅の花しましは咲かずふふみてもがも(萬:一七八一)
梅の花しだり柳に折り交へ花にたむけば君に會はむかも(萬:一九〇四)
梅の花我は散らさじあをによし奈良なる人の來つつみるがね(萬:一九〇六)
本日は春立つ日、立春ですね。
少しづゝ日がながくなつてきてゐるのを感じる今日此頃で、これから梅の花の盛りとなつていきますね。
梅を視てゐると春を感ずるとゝもに、いつも何か心の奥底が引き締まるおもひがします。櫻とはまた異つた魅力があり、いつも視れど飽かぬおもひのする花です。
今年もうつくしい梅花を視るのを樂しみにしてゐるところです。